映画 (何度観ても分からない)TENET/テネット(2020米英)
一度観ただけでは何のことか全く分からない映画です。悔しいので3度観ても未だ分かりませんw。簡単に言うとタイムトラベル(正確には時間の逆行)+アクションですが、ストーリーの進行にこの時間の逆行が重層的に組み込まれ、現在の時間軸に過去の時間軸が割って入るので何が何だか解らなくなります。難解な映画ですから、この時間の逆行を分析した解説サイトが幾つかあります。映画の中で女性研究員が言います「頭で考えないで 感じて」と。
現在 vs. 未来
背景は、最後まで観ると分かるのですが、未来は環境破壊による人類滅亡の危機にあります。危機を回避するために世界そのものを過去に逆行させようと云う「未来」の組織と、逆行は大規模な人類の破滅を引き起こすためこれを阻止しようとする「現在」の闘いです。具体的には、CIA工作員の”男”(ジョン・デヴィッド・ワシントン)と男に協力するニール(ロバート・パティンソン)VS. 未来に雇われ地球逆行計画を企むロシアの武器商人セイター(ケネス・ブラナー)の戦いとなります。
プルトニウム241
ストーリーのカギはプルトニウム241。実は、プルトニウムは核兵器の原料では無く世界そのものを逆行させる9個のアルゴリズム(手順)のひとつ。未来の科学者が作り、その危険性から過去(映画の現在)に隠したという代物。このプルトニウム争奪戦です。
冒頭、キエフのオペラ劇場をテロリストが襲います。”男”はキエフ特殊部隊に紛れ込みプルトニウム強奪を狙いますが、プキエフ特殊部隊が介入し失敗します。男は何者かに捕まりCIAに助け出され、地球を破滅から救う作戦の最前線に立つことになります。このオペラ劇場のシーンで、映画のテーマである「時間の逆行」が披露されます。
助け出された男は、研究所のような所で発射された弾が拳銃に戻るという時間の逆行現象を体験します。女性の研究員バーバラは、銃弾は未来から送られたものであり、時間の逆行には未来の人間が関わっていることを男に告げます、
弾丸は普通 時間を前に進む でも逆にも進む
エントロピーが減少すると”逆再生”に見える 頭で考えないで 感じて
と。頭で考えると収集がつきません、頭で考えないで感じることにします。
謎の男ニールが男に協力します。男は、時間を逆行する弾からインドの武器商人プリヤを割りだし、ロシアの大富豪で武器商人のセイター行き着きます。セイターに近づくため、彼の妻キャットに近付きます。ここで、名無しの”男”、ニール、プリヤ、セイター、キャットと映画の主要人物が出揃います。
順行 と 逆行
映画では、弾丸、人や車が逆再生で動く時は逆行現象が起きています。逆行は、未来から送られてきた「回転ドア」を使うことで現在の人間にも可能となります。逆行すると外気は肺を通らないため酸素吸入が必要となり、過去の自分と接触すると「対消滅」します。逆行して過去を変えれば現在はどうなる?、これは「祖父殺しのパラドクス」の一言で片付けられます。クリストファー・ノーランもそこまでは責任が持てないということでしょう。逆行のメカニズムも同様です。この映画を観るコツは「頭で考えない」「ツッコマない」ことです。楽しみ方は、至るところに張り巡らされた伏線と伏線の回収です。あぁアレはそう言うことだったのか!、と。
スタルスク12
プルトニウムを手に入れたセイターは、ロシアの廃都市「スタルスク12」から9個のアルゴリズムを未来に送ろうとします。これを阻止しようと、男とニール、ニールの軍団は阻止作戦を敢行します。作戦は逆行を使った「時間挟撃作戦」。軍団を2分し、10分間逆行した部隊が過去を変えて順行する部隊を支援し、時間による挟み撃ちにする作戦です。男は戦闘に勝利し、セイターの目論見は潰え地球は破滅から救われます。
ここから映画全編に張り巡らされた伏線が「時間の逆行」によって回収(種明かし)されます。男はニールに問います「オマエは誰に雇われているんだ?」、ニールは応えます「アンタだ!」と。アルゴリズム奪還は未来の”男”が地球を破滅から救うために立てた作戦で、ニールも彼の軍団もそために送り込まれた工作員だったことが明かされます。一連の作戦の黒幕は”男”だったというオチです。かなり端折ってますが、そう言う映画です。
それにしても、クリストファー・ノーランは何故こんな難解な映画を作ったのか?。たぶん時間が流れることで生じる原因と結果=因果律が「不快」だったのでしょう。時間の巻き戻し(逆行)ができればで因果律は生まれません。ノーランは逆行という空想で因果律=運命と言われるものを壊したかったのでしょう。
監督:クリストファー・ノーラン
出演:ジョン・デヴィッド・ワシントン、ロバート・パティンソン、エリザベス・デビッキ、ケネス・ブラナー
出演:ジョン・デヴィッド・ワシントン、ロバート・パティンソン、エリザベス・デビッキ、ケネス・ブラナー
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